「コーラを飲むと歯と骨が溶ける」。子どもの頃、飲み物を買おうとした場面で聞いた人は多いだろう。しかし、これは誇張を含む。炭酸飲料を長期に高頻度で飲めば歯の酸蝕や虫歯のリスクは上がるが、飲んだそばから歯や骨が溶けるわけではない。
問題は雑学の正誤ではない。この言い回しは、健康を単純な自己管理の成否へ畳み、「分かっている人」と「自分を壊す人」を分ける装置になる。
歯科の予防情報が注意するのは、糖分や酸に繰り返しさらされることだ。飲む頻度、口に含む時間、歯磨き、食生活などが重なる。骨への影響も、一本の飲み物だけで断定できるほど単純ではない。だからといって、だらだら飲みを勧める話でもない。リスクを「即座に溶ける」という絵に変えた瞬間、条件が消える。
健康な人が目立つことはある。しかしその足元には、調理、配送、休暇制度、医療、家族の世話がある。それを消して「自己管理できる少数だけが価値を生む」と言うのは、給水設備を撤去してランナーの強さを証明するようなものだ。冷徹な結論ではなく、見なくて済むようにしたい事情がそこにある。
「コーラで歯を溶かすことができるか」 という問いに対しては「YES」だ。 「フロスで鉄格子は切れるか」と同じで、使い方次第。 「雨垂れ石を穿つ」というように、 ウォーターカッターでは一瞬で石が切れますが、水滴では長い時間がかかります。
コーラはここでは「雨垂れ」なので、長い時間新鮮なコーラを口に含み続け、 歯を磨かず、水も飲まず、ただひたすらコーラを溜め続けなければいけない。 歯よりも先に体が悲鳴を上げるだろう。
ただし、脆い石があるように、歯が脆い方もある。 寝起きと食後の歯磨きはしましょうね。